今月前半は新宿と浅草と、続けて寄席の出番をいただいた。
船を漕ぐようなもので、お客席に乗せてもらって、自分の実力以上にいい雰囲気になる日。
逆に、遭難しないようにするだけで精一杯の日も。
毎度思うことだが、ひっきりなしで寄席に出て、お客席をいい雰囲気にする真打の師匠方はすごい。
喫茶店に座ると、毎日来ているスカジャン爺さんと隣になる。
「自分だけじゃどうにもならんこともあるがな」
「まあまあまあ、そうですね」
「それに世の中、これが正解と決まったこともないがな」
「はい」
「そう目の前のことをコツコツやるしかないんじゃな」
そして爺さんは目の前のプリン・ア・ラ・モードを2時間かけて食べると、ドクダミ色のスクーターに乗って帰っていった。