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2016年1月のこと

1月31日

只今帰宅。歩きながら明日の「さがみはら若手落語家選手権」用の根多をさらっていた。結果云々より、あらかじめ決まった根多を高座でかけることに緊張がある。明日のお客様と自分にぴたっとハマりますように。楽しい高座にしよう。

1月29日

身体もようやく元に戻る。ここ一週間ほど返信やら告知が滞りまくっていた。俺は失われた一週間を取り戻す……。ふふ。勇んで家を出た。

横浜から京浜急行に乗り、お世話になっている横須賀中央「地球堂」さんへ自分の会のチケットとチラシを持参する。公演日まであと一ヶ月だというのに、すっかり遅れてしまった。お忙しい中、会長ご夫妻が応対してくださる。

「どんどんお客様、増やしましょうね」
「期待してますよ」

靴屋の地球堂さんは、横須賀の人なら誰でも知っている老舗。会長ご夫妻、長年の商売でご自身のお店を守ってきた方だ。僕の拙いイベント運営に、もどかしさも感じてらっしゃると思うが、いつも温かい言葉を掛けてくださる。高座で報いたいなあ。

夕飯で久しぶりに普通のおまんまにありつく。おかゆも美味しい、美味しいけども、普通のご飯が食べられる幸せ。

この文章を書いていると、お客様から電話が掛かってきた。

「珍しいですね」
「お腹大丈夫?」

心配のお言葉。じーん。

「ありがとうございます!もう大丈夫っすよ!もう!すっかり!」
「よかったね〜」
「はい、もうほんと安心しましたよ……グキュルルルゴキュブキュ」
「……ん?」
「キュルルドゴルゴゴゴ……」
「もしもし?」

まだ大丈夫じゃなかった。

1月28日

ウイルス性の胃腸炎を発症し、布団で石化していた一週間。

心身とも、やっと娑婆に戻りつつある。

おかゆ美味い。

おかゆ美味い。

1月4日

昨日は連雀亭初席1部の一番最後、トリに上げてもらう。「明烏」を演る。

今日は一転、これから池袋演芸場2部の一番手。定席、身の引き締まる思い。

1月2日

あす神田連雀亭の初席1部に代演で出る。番組を確認すると、主任ではないか。一番最後に上がる出番。「終わり良ければすべて良し」の「終わり」部分である。

現在、午後11時30分。ぶつぶつ稽古に行ってくる。

1月1日

僕の2016年元日、年明けの初めてのお仕事は神田連雀亭の第2部。

神田連雀亭は落語家の中で、前座修業を終えた若手の段階の芸人「二ツ目」だけが出演する若手専門の寄席。普通の寄席「新宿末廣亭」「浅草演芸ホール」「池袋演芸場」「上野広小路亭」などは真打の師匠方と色物が番組の中心で、二ツ目の出番は「サラクチ」と言われるトップバッターの位置だけ。寄席における二ツ目の出番は限られている。

その点、この連雀亭は二ツ目であればどんな出番にも出してもらえるのだ。

お昼すぎ、連雀亭に楽屋入りすると、林家つる子さんが。「おー!」と二人で声をあげる。実はつる子さんとは大学の落語研究会時代からのご縁。大学は違うけれども、共通の友人がいることから知り合った。つる子さんは大学落研のコンテストで優勝するなど、人を惹きつける魅力のある人。

つる子さんは落語協会の林家正蔵師匠門下へ、僕は落語芸術協会の瀧川鯉昇門下へ。

入門はつる子さんのほうが早いので本来ならば「つる子姉さん」と呼ばなければいけないのだけど、前座として寄席の楽屋に入ったタイミングもほぼ同時で、メールで連絡をとったときに勝手に「同期ですねー」などと言い合っていた。

これだけ毎日、前座修業をしているんだからいつかどこかの仕事で一緒になるだろうと思っているまま、四年以上経ってしまった。本日、久しぶりに再会。

つる子さん、お人柄どおりの明るい高座。

自分の同期や後輩も少しずつ二ツ目に昇進している。同じ時代に前座修業の苦楽をともにした仲間が増える。ライバルも増える。

やるぞー。

2部に上がった私は「松竹梅」を演る。客席、あっためきれず。年初は苦いスタート。