7月31日
群馬県、高崎の吉井文化ホールで若手中心の落語会。遊喜師匠、マグナム小林兄さん、羽光兄さん、つる子さん、前座の金の助さん、芸術協会のスタッフさんと。
つる子さんとは、大学時代からの知り合いだったのだけど、入門してから前座修業を終えるまでのおよそ5年間、協会が違ったということもあって、ついぞ一度も同じ現場に入ったことがなかった。今回、二ツ目に上がって以来どころか入門して以来、初めてお仕事でご一緒したので、帰りの新幹線の車内ではそれこそ積もる話という感じになった。
しかしまあ、高崎近いっすね。東京から新幹線で50分で着いちゃう。東京から横須賀は横須賀線で1時間15分。もちろん、在来線ならば高崎より横須賀のほうが早く安く行けるんだけど、東京から横須賀まで50分でたどり着ける手段は無いわけだから、横須賀のほうが遠いんじゃねえかって感覚に陥る。
7月17日
電車の冷房にやられまして。
夏本番を前に風邪をひいてしまった。だいたい毎年この、梅雨明けする前くらいに一度、喉をやられるんです。あまり暑くない日なのにガンガンにかかっている冷房で。とはいえ、体調管理ができていなくて恥ずかしいよね。
5年前ほど前、サーモ生姜を知ってからというもの、スーパーかなんかで国産の安い生姜を見かけるとたくさん買ってきて毎年つくってまして。このサーモ生姜をしこたま入れたスープを飲んで体を温めたりしているここ数日間。サーモ生姜いいです。
さて、文字起こしに戻ります。
7月10日
横須賀中央の会。じぶんの高座が不完全燃焼な形になってしまいお客様に申し訳がない。ゲストの桂竹千代さんの助演に文字通り助けられる。
7月9日
昼、横浜にぎわい座で桂南光師匠と南天師匠の親子会へ。高座の袖で鳴り物をやらせていただく。二ツ目になると「当たり前のように楽屋の空気を吸う」機会が減る、そういう機会が減るとどうしても落語家の匂いが薄まっちゃう。だから、こういう機会を頂けるのは本当に有難い。もちろん、高座に上がれるのが一番嬉しいのだけど。
東京と上方、ひと口に同じ落語界であっても噺の形・匂い、楽屋の暗黙の約束事、物事の運び方の「間」が違うのだ。同じ「間」の範疇に入ると思うけれど一番太鼓、着到、仲入り、追出しの太鼓、これも東京と上方とでは微妙に違う。だから、鳴り物のお手伝いで楽屋に入れていただいているのに、上方の師匠方の気持ちいい間に合わせることができなくて、歯がゆさを感じる。しかしまあ、ここは横浜なのに、両師匠がその場にいるだけでその場が上方の寄席の空気になるのだ。すごい。今年の夏は一度、大阪まで行って上方の落語を目の当たりにしてみたいと思った。
夜は、末廣亭の深夜寄席。昨年あたりから芸協(落語芸術協会)の興行でも毎回200名以上のご来場が珍しくない、人気の兄さんが出る回では300名も近いという状況。ここぞとばかりに宣伝のチラシをごまんと持参する。バッグが壊れるんじゃないかという重さ。お客さんに届け、届け。
夜の部のトリが上がったあたりで深夜寄席に来場のお客様の行列整理を始めるのだけど、すでに列は延びに延びている状態。行列を整えて木戸銭を頂戴して入場していただくだけでひと仕事。
嬉しい悲鳴だ。
寄席の情緒がむんむんの末廣亭、土曜日の深夜、ワンコイン。こういった状況があるからこそ、幅広い年齢層、落語と初めて触れ合うお客様、落語を好いてくれているお客様、こういった人たちが渾然一体となった客席で落語をやる機会を貰えるというのは、若手にとって得難い機会だと思う。
今夜は小痴楽兄、遊子さん、鯉丸、桃之助兄という番組。一番手の小痴楽兄さんがいい空気にしてくれてすでに大ウケ、深夜寄席初登場の遊子さんがまくらから爆笑を誘っている。僕は「片棒」。深夜寄席の間を探りつつ。桃之助兄さんは「船徳」。船徳、春風亭にとって大事な噺だ。
270名のご来場。
7月7日
東大和市でご年配の方向けの落語会。笑福亭希光さんと。
横浜から会場の最寄駅の武蔵大和までどういう経路で行けばいいのか検索したら、東横線で武蔵小杉、武蔵小杉から南武線で府中本町、武蔵野線に乗換え新小平で降りて、青梅街道(駅)まで10分歩いてそこから西武多摩湖線で武蔵大和、という経路が一番上に出てきた。こんな乗り継ぎ、なかなか経験しないと思うので、言われた通りに武蔵大和まで行く。ちょっとした小旅行だ。
いろんなご縁がつながって今回の会が実現できたので、とても嬉しい仕事になった。
暑い日。
7月5日
お昼は市川市の小学校で落語の解説と一席。学校に到着すると校長先生と教頭先生にご挨拶いただく。給食をご用意していますと言われて控え室に入ると、今日の献立が揚げパンだった。テンション上がる。
今回は4年生の学年全員がお客さん。千葉県では4年生の国語の教科書に落語の「ぞろぞろ」が載っているのだそうだ。児童の皆さん、僕が解説をする前から落語がどんなものか、理解があるようだった。まあ、いきなり「今日は落語です」という感じで聞いてもらうのももちろんいいのだけど。こうやって事前に落語に興味を持ってもらっている段階で生の落語を聞いてもらうと、より距離感が近づいていいな。どんな状況でも、児童の皆さんを落語の虜にできる技を磨かないといけないだけど。とってもいい学校でした。
終演後、都心まで戻って池袋演芸場の夜席。久しぶりに「馬大家」を演った。二ツ目の出番はどうしても(他の二ツ目の方との)交互出演が多いので、こうやって5日間連続で同じ高座に上がらせてもらうと、得られるものが多いです。師匠方がどうやって5日間を演っているかも目の当たりにできる。やっぱり真打はすげえ。次の寄席(出演)は末廣亭の7月下席夜の部です。
終演後は雷門音助と、らくごカフェでやる二人会の打ち合わせ。
7月4日
池袋演芸場でこの文章を書いている。五日まで夜席に出演なのだが、今日だけ入れ替えで昼の部に出る。
池袋駅にだいぶ早めに着いたので、途中で郵便局に寄ったりしていたのだが、こう暑くてはどこかで時間をつなぐ気にもなれず、楽屋に入ってしまった。涼しい、が、まだ随分と早い。
今は目の前で昼席の前座さんが、楽屋を掃除したり、番組を確認したり、めくりを揃えたりと準備している。みんな仕事している中で自分だけロビーのソファーで座っていて、なんとなしに所在ない。
今日は何を演ろう。
追伸.
池袋演芸場の出番で持ち時間を2、3分こぼしてしまった。寄席では、それぞれの持ち時間の中で最大限のパフォーマンスをして次へ渡す、ひとつの番組をつないでいくというのが大事。時間をこぼすのは全体の番組の流れを損なうわけだし、何しろあとの方の持ち時間を潰すことになるので、厳に慎まなければならない。
二ツ目になって、定席の寄席以外の空間で落語を演ることが多くなった。神田連雀亭であれば一人あたりの持ち時間、お昼のワンコイン寄席は20分、午後のきゃたぴら寄席、日替わり寄席はそれよりちょっと長めといったところ。あまつさえ、自分の会では1時間半から2時間近くを喋ることも増えた。
定席と呼ばれる寄席に出していただくと、一人当たりの持ち時間がだいたい15分。出番によってはもっと短いこともある。
前座の頃は、じぶん一人の会なんて演れるんだろうかと思ったけれど、長時間のパフォーマンスをするよりも、15分の中できっちり自分の仕事をするというのは本当に大変なことだなと、改めて思う。